2004年博士号取得 石原吉明

博士になろう。

石原吉明編

〜高校生時代

 私が科学者になりたいと思ったきっかけは、小学生の時に両親に買い与えられた学研の図鑑。「地球」や「宇宙」とかをみて、「自然は不思議だなぁ〜」と思った所までさかのぼれるだろうか。その後、夏に山で見た満天の星空なども忘れることは出来ない。例えば、中学の卒業文集で私は観測天文学者になりたいということを書いているし、理論物理学者になって宇宙の初期段階、この時空はいかにして生まれたのか解明したいなどとも思っていたような気がする。高校に進学した後、興味の対象は宇宙だけでなく、生命など様々に広がっていったが、やはり一番私を魅了したのは星空であり、宇宙であった。そして、大学進学の際の選択肢は自ずと理学部、そして、物理か地学関係ということになる。

学部生時代

 さて1995年4月、晴れて私は大学生となった。金沢大学理学部地学科に入学した。1年生は教養の授業がほとんどであり、専門の授業はほとんどなく、2年生から専門の授業が増えてくる。そして、3年生の後期の課題実験と呼ばれる授業で研究室に仮配属されることになる。つまり、専門の授業が始まって1年半程度で何をやりたいか見極める必要がある、積極的に先生と話しに行く、もしくは大学院生などをつかまえて話をするといいだろう。私は3年生の前期の時点では、地球物理の古本先生につくか、古生物(地質)の神谷先生につくか迷っており、最終的に地球物理に進んだのは、神谷先生に貝形虫の(ミトコンドリア)DNAを分析して、進化の研究をしたいと相談しに行ったところ、無理だといわれたからである。その選択は正解だったということが出来る。4年生では卒業論文の研究ということで、初めてテーマを与えられて研究の真似事を行う。

大学院生

 博士になる貴方(貴女)は大学院に進学し、まずは修士号取得を目指すこととなる。標準年限は2年で、必要単位と修士論文の審査認定をもって修士号が授与される。まず滅多なことで修士取得に2年以上かかる人はいない。無事に修士号を取得後、博士課程に進学し、さらに研究をすすめ、必要単位と博士論文の認定をもって博士号が授与される。博士課程の標準年限は3年であるが、こちらは3年で学位を取得できないことは珍しいことではない。博士号とは「最高学位」であり、非常に厳しいものである。

 さて、研究というものは、ただひたすら研究だけすれよいというものではなく、公表することも重要である。公表には二つの方法がある。ひとつは学会発表、ひとつは論文発表である。つまり、「研究をし、学会で発表し、論文としてまとめる」という過程を繰り返すこととなる。以下に私の学会発表や論文発表を年代順に並べてみる。

=学会発表=

<修士課程1年生>

石原 吉明・束田 進也・酒井 慎一・平松 良浩・古本 宗充, 地震記録による火球現象の解析, 地球惑星科学関連学会1999年合同大会, 東京(国立オリンピック記念青少年総合センター), 1999/06.

石原 吉明・束田 進也・酒井 慎一・平松 良浩・古本 宗充, 衝撃波データによる隕石および火球の経路決定, 第21回太陽系科学シンポジウム, 相模原(宇宙科学研究所), 1999/12.

石原 吉明・束田 進也・酒井 慎一・平松 良浩・古本 宗充,地震計に捕らえられた火球衝撃波, 平成11年度地震研究所共同利用研究集会(1999-w-08)「大陸形成と地球のダイナミクス―島弧地殻の形成・変形過程―」, 東京(東京大学地震研究所), 2000/03.

<修士課程2年生>

後藤 忠徳・木村 高之・平松 良浩・石原 吉明・古本 宗充・河野 芳輝, 高松クレータの深部電気比抵抗構造, 地球惑星科学関連学会2000年合同大会, 東京(国立オリンピック記念青少年総合センター), 2000/06.

石原 吉明・平松 良浩・古本 宗充, 隕石、火球落下にともなう衝撃波解析, 第20回南極地学シンポジウム, 東京(国立極地研究所), 2000/10.

Ishihara, Y., S.Tsukada, S. Sakai, Y. Hiramatsu and M.Furumoto, Fireball Observation by Dense Seismic Arrays, 2000 AGU Fall Meeting, San Francisco (Moscone Center North and South) CA USA, 2000/12.

<博士課程1年生>

石原 吉明・今井 美央・平松 良浩・古本 宗充, 火球衝撃波のエネルギー推定 〜人工衝撃波源を用いた衝撃波実験〜, 日本惑星科学会2001年秋季講演会, 岡山(岡山理科大学), 2001/10.

浅田 哲司・石原 吉明・古本 宗充, 最近日本に落下した隕石の軌道について, 日本惑星科学会2001年秋季講演会, 岡山(岡山理科大学), 2001/10.

石原 吉明・束田 進也・酒井 慎一・平松 良浩・古本 宗充, 地震観測網を用いた火球観測, 第6回レオニード流星群観測小研究会, 相模原(宇宙科学研究所), 2001/10.

三宅 学・高橋 直季・石原 吉明・臼井 佑介・浅田 哲司・平松 良浩・古本 宗充・河野芳輝・東野外志男・平田直, 白山近傍での微小地震観測その(1), 日本地震学会2001年秋季大会, 鹿児島, 2001/10.

Ishihara, Y., Y. Hiramatsu and M. Furumoto, Temporal Change of the Fireball Energy along the Fall Path from Shock Wave Analysis, 2001 AGU Fall Meeting, San Francisco (Moscone Center North and South) CA USA, 2001/12.

<博士課程2年生>

石原 吉明・平松 良浩・古本 宗充, アブレーションによるメテオロイドサイズの変化, 地球惑星科学関連学会2002年合同大会, 東京(国立オリンピック記念青少年総合センター), 2002/05.

<博士課程3年>

石原 吉明・高橋 雪江・平松 良浩・古本 宗充, 衝撃波データから推定した神戸隕石のアブレーションプロセス, 地球惑星科学関連学会2003年合同大会, 千葉(幕張メッセ国際会議場), 2003/05.

高橋 雪江・石原 吉明・平松 良浩・古本 宗充, 花火によって励起された衝撃波の解析, 地球惑星科学関連学会2003年合同大会, 千葉(幕張メッセ国際会議場), 2003/05.

石原 吉明・酒井 慎一・束田 進也・古本 宗充, 地震計に記録された衝撃波シグナルから推定した2003年6月16日の大火球の落下経路, 第36回月・惑星シンポジウム, 相模原(宇宙科学研究所), 2003/08.

矢野 創・柳沢 俊史・石原 吉明・阿部 新助・山田 哲哉・藤田 和央, 高速再突入カプセルの観測データの惑星科学への応用, 宇宙航行の力学シンポジウム, 相模原(ISAS, JAXA), 2003/12.

Ishihara, Y., Y. Takahashi, Y. Hiramatsu and M. Furumoto, Ablation process of the 1999 Kobe meteorie inferred from shockwave data, 2003 AGU Fall Meeting, San Francisco (Moscone Center West) CA USA, 2003/12.

<博士号取得後>

石原 吉明・酒井 慎一・束田 進也・古本 宗充, 地震計に記録された衝撃波シグナルから推定した2003年6月16日の大火球の落下経路, 地球惑星科学関連学会合同大会, 千葉(幕張メッセ国際会議場), 2004/05.

Ishihara, Y., Y. Hiramatsu and M. Furumoto, Ablation of meteoroids along trajectories inferred from seismic data, Meteoroids 2004, London (University of Western Ontario) Ontario Canada, 2004/08.

=論文発表=

[査読なし論文]

石原吉明・束田進也・酒井慎一・平松良浩・古本宗充, 衝撃波データによる隕石および火球の経路決定, 第21回太陽系科学シンポジウム講演集, 12-15, 2000.

石原吉明・平松良浩・古本宗充, 2000, 隕石,火球落下にともなう衝撃波解析, 第20回南極地学シンポジウムプログラム・講演要旨, 74-76, 2000.

Ishihara, Y., S. Sakai, S. Tsukada and M. Furumoto, Preliminary Result of the 2003 Kanto Large Bolide's Trajectory Determined from Shockwave Records of a Dense Seismic Array, Proc. 36th ISAS Lunar Planet. Symp., 234-237, 2003.

[査読あり論文]

石原吉明・束田進也・酒井慎一・平松良浩・古本宗充, 稠密地震観測網記録による火球経路の決定, 地震研究所彙報, 76, 87-92, 2001.

Ishihara, Y., S. Tsukada, S. Sakai, Y. Hiramatsu, and M. Furumoto, The 1998 Miyako fireball's trajectory from shock wave records of a dense seismic array, Earth Planets Space, 55, e9-e12, 2003.

高橋雪江・石原吉明・平松良浩・古本宗充, 花火によって励起された衝撃波による地動, 地震2, リバイス中.

Ishihara, Y., M. Furumoto, S. Sakai, and S. Tsukada, The 2003 Kanto Large Bolide's Trajectory Determined from Shockwaves Recorded by a Seismic Network and Images Taken by a Video Camera, submitted to Gephys. Res. Lett.

Ishihara, Y., Y. Hiramatsu, and M. Furumoto, Trajectory of the Kobe meteorite, submitted to Meteorit. Planet. Sci.

見てもらえれば分かるように、学会発表は年に数回、コンスタントにおこなっている。また博士号を目指すならば、やはり国際学会での発表も外せないだろう。私の場合は、修士2年で初めて国際学会で発表を経験し、博士2年の時を除いて毎年一度は国際学会で発表している。学会で発表することにより、普段話すことの出来ない他大学や外国の研究者と議論をし、また他の研究者が今何を考えているのかを知ることが出来る(論文を読めばいいという意見もあるかもしれないが、出版されるまでの時間差があるため、リアルタイムの情報とは言えないのではないだろうか)。旅費や参加費の問題はあるが、なるべく積極的に参加することを勧めたい。

論文発表については、査読ありの学術誌に投稿する場合は必ず掲載されるわけではなく、また査読プロセスに非常に時間がかかることがある。また、やはり科学技術の世界では英語が標準語であり、論文も英文で執筆することが多くなる。私は現在非常に英語力で苦労しており、学部生の時間があるうちに英語の勉強をしておくことをお勧めする。