2003年博士号取得 諸田智克

博士課程の思い出

私は2003年3月に博士号を取得した諸田智克と申します。博士課程での研究テーマは、「月における天体衝突の時空間変化」というもので、月での小惑星や彗星による衝突が過去にどれくらいの頻度で起こり、それが時間的にどのように変化してきたか、さらには、そのような衝突が月のどこで起こりやすいか等を調べてきました。

この研究テーマは、私が大学4年生になり、研究室に入った際に、指導教官である古本宗充教授に与えて頂いたものです。当時、私は惑星科学の分野に大変興味がありましたが、何が既に分かっていて、何がまだ謎として残っているのかは、まったく知りませんでした。ですから、はじめは先生に与えられたことを淡々とこなしていただけだったような記憶があります。しかしその後、多くの論文を読み、学会で他の方々の発表を聴くことで、この分野の進展状況が分かり、知識が増えてからは、自ら研究目的や解析方法を考えるようになり、大変研究が楽しくなりました。大学で生活していたと言っても過言では無いくらい、研究にのめりこみました。

大学院時代の良い想い出は、アメリカの学会で発表したことです。それは大学院修士2年生の時で、はじめて海外の一流研究者の方々と接する機会でした。私は当時から自分の研究に自信を持っていましたが、海外の研究者の方から興味をもっていただけたことで、さらに研究意欲がかきたてられました。特に、ある有名研究者に「Interesting!!」というお言葉をいただいたことは鮮明に覚えています。

やはり博士号を取得する際に最も苦労することは、学術雑誌に論文を載せることです。“論文”には2種類あり、一つは学位を取得する時に大学に提出する学位論文と、もう一つは専門的な学術雑誌に投稿し、第三者の専門家による査読、認可を経て、はじめて掲載が許される投稿論文です。金沢大学では、博士論文を提出する時点で、投稿した論文が何らかの学術雑誌に掲載された経験がないといけません。しかしそれは決して簡単ではないのです。私も何度か海外の雑誌に投稿しましたが、なかなか査読者から認めてもらえず、苦労しました。しかし、査読者から問題点を指摘されるたびに、研究の質は上がっていったように思えます。そして、ひとたび私の論文が世に公表されると世界中の研究者から質問やデータ提供の依頼があり、自分の研究の面白さ、重要さを改めて実感できました。当時の喜びは今でも忘れません。